築30〜40年の実家をどうするか。建て替え・リフォーム・住み替えの選び方を、5つの基準で整理します。耐震診断の数字の読み方、費用の分かれ目、2025年4月の法改正まで。「なんとなく」ではなく、根拠を持って決めたい方のための1本です。
結論|判断軸は「構造 × お金 × 何年住むか」
建て替えかリフォームかに、全員共通の正解はありません。でも、判断の軸は決まっています。
①構造と耐震、②費用、③暮らしをどこまで変えたいか、④土地の条件、⑤これから何年住むか。この5つを順に見れば、答えは自然にしぼれます。
| 判断基準 | 建て替えに傾く | リフォームに傾く |
|---|---|---|
| 1. 構造・耐震 | 耐震診断の点数が低い。基礎や土台の傷みが大きい | 構造がしっかりしている。傷みは部分的 |
| 2. 費用 | 直したい範囲が広く、費用が新築に近づく | 直したい範囲がせまく、費用を抑えられる |
| 3. 暮らしの変更度 | 部屋の配置・断熱・広さを根本から変えたい | 今の骨組みを活かした改善で足りる |
| 4. 土地の条件 | 建て替えできる土地である | 再建築不可など、建て替えにハードルがある |
| 5. 住む年数 | 次の世代まで長く住む。二世帯にする | 住む期間が限られている |
いちばん避けたいのは「決めずに先送り」です。旧耐震の家は大地震のリスクを抱えたまま。親が住めなくなってから慌てると、空き家の維持費や相続の問題まで一気に来ます。
三重県の空き家率は16.4%と全国平均を上回ります(2023年住宅・土地統計調査)。元気なうちに、家族で方向性を話しておきましょう。
基準1 構造と耐震|「評点」が出発点
築30〜40年なら、まず耐震診断で家の状態を数字にしましょう。木造住宅の耐震診断では、結果が「上部構造評点」という数字で出ます。区分は4段階です(日本建築防災協会の基準)。
| 評点 | 判定 |
|---|---|
| 1.5以上 | 倒壊しない |
| 1.0以上1.5未満 | 一応倒壊しない |
| 0.7以上1.0未満 | 倒壊する可能性がある |
| 0.7未満 | 倒壊する可能性が高い |
診断の受け方は2通りです。市の無料診断制度を使うか、建築士などに直接頼むか。無料診断は対象条件と受付期間が決まっているので、まず自分の市町の制度を調べましょう。
診断では床下や屋根裏まで見てもらえます。雨漏り・シロアリ・基礎のひびといった劣化も一緒にわかります。この「劣化の全体像」こそ、建て替えかリフォームかを分ける最重要情報です。
評点0.7未満なら、補強費用と建て替えを天秤にかける段階です。1.0に近ければ、部分補強+リフォームが現実的です。
桑名市では昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅を対象に無料の耐震診断があります(3階以下などの条件あり。令和8年度の受付は6月1日〜11月30日)。費用ゼロで判断材料を手に入れられます。
参考データ: 木耐協の調査(2019年発表・約2.7万棟)では、診断した家の9割超が評点1.0未満でした(診断を頼む家は築古が多いため、その分の偏りはあります)。
三重県でも、旧耐震の家は住んでいるものだけで約16万戸。「うちも例外ではない」前提で診断から始めましょう。

基準2 費用の分かれ目|数字で比べる
費用は「どこまで直すか」で桁が変わります。公表データで整理すると3段階です。
| 工事の段階 | 費用の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 耐震補強のみ | 100万〜150万円の価格帯が最多。木耐協調査の平均は約168万円(旧耐震の家は約189万円) | 日本建築防災協会パンフレット/木耐協2019年調査 |
| スケルトンリフォーム(骨組みだけ残す全面改修) | 30坪前後で1,500万〜2,500万円が中心。範囲により800万〜4,000万円 | SUUMO等の公表相場(2026年時点) |
| 建て替え | 建築資金の全国平均5,214万円(中央値3,900万円)+解体・仮住まい費 | 国土交通省 令和6年度住宅市場動向調査 |
「リフォーム費が建て替えの7割を超えるなら建て替えが得」とよく言われます。これは公的な基準ではなく、業界の経験則です。
割合に頼るより、同じ要望リストで両方の見積もりを取り、総額で比べるのが確実です。建て替え側の費用と手順は実家の建て替え完全ガイド【三重版】で詳しく解説しています。
リフォーム案: スケルトンなら公表相場で1,500万〜2,500万円(耐震補強込み)。建て替え案: 解体を坪4万円、建築費を2,800万円と仮定すると、諸費用・仮住まい込みで総額約3,220万円。この例の差は700万〜1,700万円です。
リフォーム範囲をしぼれば差は開き、こだわれば縮まります。数字はすべて仮の例なので、実際は自宅の見積もりで判断してください。
お金の借り方にも違いがあります。リフォームローンは担保なしが中心で、住宅ローンより金利は高め・期間は短め・借りられる額は小さめです。建て替えなら長期・低金利の住宅ローンを使えます。
大規模リフォームでも住宅ローン型を使える場合があります。金融機関に相談してみましょう。
基準3 暮らしをどこまで変えたいか
リフォームには「変えられる範囲の限界」があります。柱や耐力壁(地震に耐える壁)の位置は動かせないことが多く、基礎は作り直せません。断熱も、壁の中まで手を入れる大工事でないと新築水準には届きません。
断熱は特に差が出ます。2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務になりました。建て替えれば今の断熱水準が標準で手に入ります。
リフォームでは、窓の交換など部分改善は手軽ですが、家全体を今の基準まで上げるのは大工事です。冬の寒さが実家の大きな不満なら、この差は重い判断材料になります。
逆に「水回りを新しくして内装を一新できれば十分」なら、リフォームで満足できる可能性が高いです。
コツは、家族の要望を「今の骨組みのままでできること/できないこと」に仕分けすること。できないことリストが長いほど、建て替えに軍配が上がります。
基準4 土地の条件|「建て替えできるか」を先に確認
意外な落とし穴が「そもそも建て替えできる土地か」です。幅4m以上の道路に2m以上接していない土地は、原則建て替えできません(接道義務)。
三重県の郊外に多い市街化調整区域では、建て替えに許可がいるケースもあります。再建築不可なら、選択肢は実質リフォームか売却です。
災害リスクも先に見ておきましょう。長く住み継ぐ前提で大金をかけるなら、土地そのものの浸水・地盤リスクの確認が先です。リスクが高いなら、建て替え時に基礎を上げる、住み替えを選ぶ、という判断もあります。
基準5 これから何年住むか
最後は時間軸です。住む期間が10年前後なら、必要な箇所にしぼったリフォームが合理的です。
世代をまたぐ計画なら、建て替えの価値が大きくなります。子世帯が住み継ぐ、親と一緒に住む場合は、断熱・耐震・間取りを根本から作り直せるからです。
検討の結果「この土地にこだわらなくていい」という結論もあり得ます。通勤に不便、敷地が広すぎる、災害リスクが高い。そんなときは売って住み替える第3の道が、最も合理的なこともあります。
選択肢から外さず、テーブルに載せておきましょう。
親との同居を考えているなら、建て替えを機に二世帯住宅にする道もあわせてどうぞ。

進め方|診断→両案見積もり→決定の3ステップ
- 耐震診断を受ける — 旧耐震(昭和56年5月以前着工)なら市の無料診断を確認。評点で家の現在地を知る
- 「建て替え案」と「リフォーム案」の両方で見積もりを取る — 同じ要望リストを渡して総額を比べる。リフォーム案には耐震補強を必ず入れる
- 5基準+家族の気持ちで決める — 数字で並べたうえで、思い出や愛着など数字にならない価値も話し合う

相談前に実家の資料を集めておくと、話が早く進みます。あるとよいのは、建築時の図面、登記事項証明書、修繕の履歴、固定資産税の課税明細書です。
図面が見つからない家も多いですが、現地調査で実測してもらえるので大丈夫です。
数字と同じくらい大切なのが、家族の合意です。実家には親の思い出と生活があります。費用の合理性だけで話を進めると、親の気持ちが置き去りになりがちです。
診断結果と見積もりを「家族で一緒に見る」こと自体が、後悔しない決断への近道です。
両方の選択肢を並べて相談できる会社へ
建て替えとリフォームを公平に比べるには、両方に対応できる会社への相談が近道です。桑名市のケイ・スタイルハウジング(株式会社KYK・2006年設立)は、無垢材や漆喰など自然素材の注文住宅を完全オーダーメイドで手がけ、リフォームにも対応しています。
宅地建物取引業の免許(三重県知事登録(4)第3101号)を持ち、不動産事業も行っています。「売って住み替え」まで含めた3つの選択肢を、同じテーブルで相談できるのが強みです。対応エリアは三重県北勢・愛知県西部・岐阜県西濃です。
よくある質問
まとめ|診断で数字にしてから、両案で見積もる
築30〜40年の実家の分かれ道は、手順で決められます。耐震診断で数字にする→5つの基準でしぼる→両案を同じ条件で見積もる。ここまでやれば、家族の納得感を持って決断できます。
- 構造: 評点0.7未満は抜本策。1.0近くなら補強+リフォームも候補
- 費用: 補強100万〜190万円/スケルトン1,500万〜2,500万円/建て替え平均5,214万円+解体・仮住まい
- 法改正: 2025年4月から大規模リフォームに建築確認が必要。新築は省エネ基準が義務
- 進め方: 無料診断→両案見積もり→5基準+家族の気持ちで決定


