「この年齢から家を建てるのは遅いだろうか」。そんなことはありません。
この記事では、50代・60代の住まいづくりに必要なお金の選択肢・使える制度・健康を守る住まいの条件を、三重県のデータとあわせて整理します。
注文住宅を建てる人の43%は50歳以上
まず数字から。住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査によると、注文住宅を建てた人の平均年齢は47.8歳でした。
| 年代 | 注文住宅を建てた人の割合 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7.9% |
| 30歳代 | 25.3% |
| 40歳代 | 23.7% |
| 50歳代 | 20.0% |
| 60歳以上 | 23.0% |
50歳以上を合わせると43.0%。5人に2人以上が50歳を超えてから建てています。少数派どころか、ごく普通の選択です。
興味深いのは、土地から買う場合との差です。土地付きの注文住宅は平均40.1歳で、ぐっと若くなります。
つまり50代・60代は「すでに持っている土地に建てる」人が多いということ。親から受け継いだ土地や、長く住んだ家の敷地を活かすケースです。
三重県は「自分の土地に建てる」県
三重県には、この世代の家づくりを後押しする特徴があります。
| 指標 | 三重県 | 全国 |
|---|---|---|
| 持ち家率 | 72.3%(全国9位) | 60.9% |
| 一戸建ての割合 | 72.4% | 52.7% |
| 高齢化率 | 30.9% | 29.3% |
持ち家率と一戸建て率は、どちらも全国を大きく上回ります(2023年の住宅・土地統計調査)。土地と家を持っている人が多い県です。
高齢化率は30.9%(2024年10月時点)。ただし北勢は県内でも若い地域です。桑名市は27.3%、四日市市は26.0%で、県平均を下回っています(2022年10月時点)。
全国の数字になりますが、高齢者のいる世帯の81.6%が持ち家です。50代・60代の家づくりは「ゼロから買う」より「今ある資産をどう組み替えるか」の話になりやすい、という背景があります。
お金の選択肢は3つ
この世代の資金計画は、自己資金・住宅ローン・リ・バース60の3つで考えます。

①住宅ローン|年齢で線が引かれる
住宅ローンには年齢の条件があります。国土交通省の令和7年度の調査では、完済時の年齢を「80歳未満」とする金融機関が978機関中732機関と最も多くなっています。
借入時の年齢は「65歳未満」が最多でした。
55歳で借りるなら返済期間は25年が上限。毎月の返済額は、35年で借りる場合より重くなります。住宅ローンは何歳まで組めるのかは別の記事で詳しく解説しているので、審査や金融機関の比較はそちらをご覧ください。
②リ・バース60|毎月は利息だけ払う
あまり知られていませんが、この世代のための住宅ローンがあります。【フラット35】リ・バース60です。
いちばんの特徴は返し方です。毎月の支払いは利息だけ。元金は亡くなったときに、相続人が一括で返すか、担保の家を売って返します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 満60歳以上。満50歳以上満60歳未満でも利用できる(融資限度額は変わる) |
| 毎月の支払い | 利息のみ |
| 融資限度額 | 担保評価額の50〜60%(金融機関により異なる)。満50歳以上満60歳未満は30% |
| 使いみち | 建設・購入、リフォーム、借換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金など。生活資金には使えない |
| 相続人の負担 | ノンリコース型を選べば、家を売って残った債務の返済義務はない |
「子どもに借金を残したくない」という心配には、ノンリコース型という答えがあります。家を売っても足りなかった分を、相続人が返す必要はありません。実際、申込みのほとんどがこの型です。
③自己資金|退職金をどこまで使うか
退職金を建築費に充てるかどうかは、多くの方が迷うところです。
判断の軸は「手元にいくら残るか」。医療費や介護費、車の買い替えなど、これから必要になるお金を先に確保してから、残りを住宅に回すのが基本です。
三重県内の銀行のローンは三重県の住宅ローン一覧で比較できます。金利タイプと団体信用生命保険の条件は、年齢によって選べる範囲が変わるので早めに確認しましょう。
50歳から使える減税がある
意外に知られていないのが、バリアフリー改修の減税は50歳から使えることです。
| 所得税の控除 | 固定資産税の減額 | |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 50歳以上/要介護・要支援の方/障がいのある方/65歳以上の親族と同居する方 | 65歳以上/要介護・要支援の方/障がいのある方 |
| 効果 | 工事費の10%(上限200万円分=最大20万円) | 翌年度分の3分の1を減額 |
| 工事費 | 50万円超(補助金を引いた後) | 50万円超(同) |
| 期限 | 2028年12月31日まで | 2031年3月31日まで |
対象になる工事は、手すりの取付け、段差の解消、通路の拡張、浴室やトイレの改良、滑りにくい床材への変更などです。

補助金|この世代が使えるのはどれか
最初に正直にお伝えします。三重県にも桑名市にも、シニア世帯だけを対象にした住宅の補助金はありません(2026年9月時点)。
そのうえで、使える制度を整理します。
| 制度 | 内容 | この世代が使えるか |
|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 GX志向型住宅 | 110万円/戸(三重県の場合) | ○ すべての世帯が対象 |
| 同・長期優良住宅/ZEH水準 | 75万円/35万円 | × 子育て世帯・若者夫婦世帯限定 |
| 同・リフォーム | 上限80万〜100万円 | ○ すべての世帯が対象 |
| 四日市市 三世代同居等支援 | 工事費の1/3・上限50万円 | △ 子世帯が子育て世帯などの場合 |
| 三重県 人財バンク | 建築士などへの無料相談 | ○ 誰でも利用可 |
ポイントはGX志向型住宅です。断熱や省エネの性能が高い家を新築すると、世帯の年齢に関係なく110万円が受けられます。
一方、長期優良住宅やZEH水準の枠は子育て世帯・若者夫婦世帯に限られます。子どもが独立した世代は対象外です。ここを勘違いすると資金計画が狂います。
冬の安全は、住宅性能で変わる
この世代の家づくりで、見た目や広さより優先したいことがあります。家の中の温度差です。
消費者庁が2025年12月に公表した資料によると、浴槽内での溺死・溺水による死亡者は年間7,776人(2024年の人口動態統計)。そのうち65歳以上が7,363人で約95%を占めます。
同じ年、65歳以上の交通事故による死亡者は2,103人でした。浴槽での事故は、その3倍以上起きています。
発生が集中するのは11月から4月。暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室の温度差で、血圧が急に変わることが一因とされています。
断熱性能を高めると、前の章で触れたGX志向型住宅の補助(110万円)の対象にもなります。安全と補助金が同じ方向を向いているのが、この世代の家づくりの合理的なところです。

介護保険の住宅改修は「新築には使えない」
手すりの取付けなどに使える介護保険の制度があります。ただし誤解されやすい点が2つあります。
| よくある誤解 | 正しい内容 |
|---|---|
| 「20万円もらえる」 | 20万円までの工事に対し、7〜9割が支給(9割なら18万円) |
| 「高齢者なら誰でも使える」 | 要支援・要介護の認定を受けた方のみ |
| 「新築でも使える」 | 使えない。既存の住まいの改修が対象 |
対象になる工事は6種類。手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、引き戸などへの取替え、洋式便器への取替え、それらに付帯する工事です。原則として工事の前に申請します。
限度額は1人につき生涯20万円ですが、要介護の区分が3段階上がったときや、引っ越したときには、また20万円まで使えます。
具体的には、廊下やトイレの壁に手すり用の下地を入れておくこと。壁の中に補強板を仕込んでおけば、必要になったとき手すりを付けるだけで済みます。工事費はごくわずかで、後から壁を壊す必要もありません。設計の打合せで必ず伝えておきたい項目です。
なお桑名市では2024年4月から、費用を一度立て替えずに済む受領委任払いの制度が始まっています。
建てる・住み替える・今の家を直す
この世代の選択肢は、新築だけではありません。
| 選択肢 | 向いているケース |
|---|---|
| 新しく建てる | 土地がある/断熱と安全性を根本から変えたい |
| 今の家を直す | 構造がしっかりしている/住み慣れた場所を離れたくない |
| 住み替える | 家が広すぎる/買い物や病院に不便/庭の手入れが負担 |
| 子世帯と一緒に住む | お互いの生活を支え合いたい |
今の家をどうするか迷っている方は、まず耐震診断で建物の状態を数字にするところから始めてください。判断の基準はこちらにまとめています。
子世帯との同居を考えるなら、二世帯住宅という形もあります。
ケイ・スタイルハウジング(桑名市)
三つの選択肢を並べて比べるには、建てる・直す・不動産の全部を扱える相手に相談するのが近道です。
桑名市のケイ・スタイルハウジング(株式会社KYK・2006年設立)は、無垢材や漆喰など自然素材を使った完全オーダーメイドの注文住宅を手がける工務店です。リフォームにも対応し、宅地建物取引業の免許(三重県知事登録(4)第3101号)も持っています。
今の家を売って住み替えるという選択肢まで含めて、同じテーブルで話せます。対応エリアは三重県北勢・愛知県西部・岐阜県西濃です。
よくある質問
まとめ|残りの人生をどこで過ごすかを決める
50代・60代の家づくりは、広さや見た目よりお金の見通しと、これからの安全で決まります。
三重県は持ち家率が全国9位。土地を持っている方が多い県です。その資産をどう活かすかが出発点になります。
- 実績: 注文住宅を建てた人の43.0%は50歳以上(平均47.8歳)
- 資金: 住宅ローン/リ・バース60(満50歳から・毎月は利息のみ)/自己資金
- 減税: バリアフリー改修は所得税50歳・固定資産税65歳から
- 補助金: GX志向型住宅なら全世帯対象で110万円
- 安全: 浴槽での事故は高齢者の交通事故死の3倍以上。断熱と暖房で備える



